パートやアルバイトとしてスーパーで品出しの仕事に携わると、付随して「前出し」と呼ばれる作業を定期的に行うことになります。売り場での作業時間が多いグロサリー部門や日配部門の担当の方はもちろんですが、畜産部門や鮮魚部門の担当の方も商品化しパックやラップしたものを陳列する際に併せて前出しを行うことになります。
この記事ではこれからパートやアルバイトとしてはじめてスーパーで仕事をされる方向けに前出しの作業内容をご紹介してまいります。
前出しとはどんな作業内容?
前出しとは商品を棚の一番手前(棚の縁の所や商品落下防止のストッパーが付いている場合はストッパーの前)まで前進させ、商品の顔(※基本的に商品パッケージの前面のことです。)を通路に向ける作業のことをいいます。前出しの作業をすることにより、お客さんが商品を見やすい、目的の商品を発見しやすい、棚から商品を手に取りやすくて買い物がしやすい、商品を比較選択して購入しやすいといった様々なメリットがあります。
来店したお客さんが次々と棚から商品を手に取っていくことで、棚から商品がなくなり棚にスペースが発生してきます。これを放置しておくと売り場の棚に凹凸が生じてきます。この状態を解消するため前出しをすることにより売り場が整頓され清潔感が出ます。綺麗に前出しを行い棚が整然としていることで来店したお客さんも「おぉぉ!」と思われるはずです。
前出しはフェイスアップと呼ばれることもある。
勤務の合間の休憩時間に休憩室のテーブルにある流通業界誌や業界団体が発行するリーフレットをパラパラ見ることがあるのですが、そこには前出しのことをフェイスアップと記載していることもあります。私の職場では「前出し」という用語で統一されていますが、フェイスアップという用語を使用している企業や職場もあるはずです。
前出しに付随する作業
ただ単純に棚の前まで商品を前進させるだけではなく付随する作業も発生します。
前出しに伴い、日付の古い商品は棚の手前に、日付の新しい商品は棚の奥に配置します。また商品のパッケージや包装に破れがないか、穴が開いていないか、つぶれて変形していないか、破損がないかのチェックをしたり、賞味期限の日付をチェックし自社で決められた販売期限を経過した商品を売り場から撤去したり、プライスカード(値札)・POPが落ちていたり折れ曲がったり傾いている場合に手直しをするなどの付随する作業も発生します。
また陳列している商品の後ろになぜか違う商品が置かれていることもあります。お客さんが一度商品を手に取ったものの商品を戻す際に戻す場所を間違った可能性が考えられます。これが売り場にて度々発生します。その際に所定の陳列場所へ商品を戻して手直しも行います。
前出しに伴い、商品の位置とプライスボードが一致していることを確認する。
陳列している商品の価格が分からなければお客さんは安心して買い物をすることができません。そのため前出しに伴い、陳列している商品の位置とその商品のプライスカードの位置が一致しているかの確認も行います。商品の位置とプライスカードの位置が一致していることで、商品を補充する従業員にとっても商品を補充する場所が見つけやすくなります。
前出しのイメージ
下の画像は箱入りのお菓子を前出しすることを想定したものです。ストッパーの手前まで箱入り菓子を前進させます。日付を確認し古い日付のものを前に、日付の新しい商品を後ろに配置させています。またパッケージに破損がないかを確認します。破損がある場合は棚から撤去するか、値引き商品コーナーへの陳列といった対策をとります。
お買い上げ点数にも影響が出るため前出しはおろそかにできない。
私の職場では出勤したらまず売り場を回って前出しを行い、仕事を終える前にも売り場の前出しをしてから帰ることになっています。忙しさや人手不足の影響から店内のすべての売り場の前出しはできないものの、広告掲載商品を陳列している売り場やお客さんが足を止めることの多いエンド、通路上にある平台、ゴールデンゾーンと呼ばれる陳列した商品が目立つエリア、特に商品が売れて棚に大きくスペースができている売り場を重点的に行うことが多いです。
本当は棚の奥に商品があるのに、棚の奥にあるがためにお客さんが商品を発見できないとなると、店舗としては本来は商品をお買い上げ頂ける機会を逃してしまうことになるのです。また来店したお客さんも棚の前で目的の商品を発見できず売り場を後にすることになると不満が残るはずです。スーパーに目当ての商品を買いに行ったものの品切れを起こしていた場合、がっかりしますよね。
ゴールデンゾーンと呼ばれる棚の中でもお客さんが見やすく目立つ場所は、棚の奥に商品があっても商品を発見し手を伸ばして商品を手に取って頂ける可能性があります。しかし棚の上段やしゃがみこまないと商品を手にとれない棚の下段に陳列している商品は、棚の奥に商品があっても発見できない可能性が十分考えられます。急いでいる方や初めて店舗に来店され店内のどこに何があるかあまり分からない方であれば尚更なはずです。
前出しをこまめにするのとしないのとでは、お客さんのお買い上げ点数やお買い上げ金額がだいぶ異なります。前出しはおろそかにできない作業なのです。棚の前で立ったりしゃがんだりしながら手を動かす地味な仕事にも思えますが重要な作業といえます。
こまめに前出しをすることは防犯的な意味合いもある。
前出しの作業を放置していると売り場の棚に徐々にスペースが発生します。これが続くと売り場が整頓されていない散らかった状態となります。散らかった状態に輪をかけるようにお客さんが棚に陳列している商品を粗末に扱ったり、一度手に取った商品を棚に戻す際に丁寧に扱ってくれないことも実際にあります。
「ビシッ」と整頓された清潔感の売り場ではなかなかそういったことは起こりにくいのです。
こまめに前出しをすることは、売り場が荒れないようにする防犯的な意味合いも持っています。
陳列が乱れた状態を放置していると「仕事をしていない」と思われる
前出しをせず陳列が乱れた状態を放置していると、店舗で働いている店員が仕事をサボっているのではないか・やる気がないのではないかとお客さんに誤解されることも出てきます。
陳列が乱れた状態の放置は、店舗の意識が低いと思われる原因につながります。そのためこまめな前出しが必要です。
前出しの作業をしながら売り場の配置を覚える。
パートやアルバイトとして勤務を始めると、品出しの仕事をするにあたり店内フロアのどこにどんな商品が配置されているのか早めに覚えることが重要になります。元々の売り場に加えて、エンドや関連商品として他の売り場に同一の商品を陳列することがあります。前出しの作業をしながら売り場のどこにどんな商品が配置されているのか覚えていきましょう。忘れやすい場合は、メモを取り売り場の配置図を作って覚えても構いません。
品出し作業で売り場にいると来店したお客さんから「○○はどこにありますか?」と尋ねられることが頻繁にあります。お客さんを適切にスムーズにご案内するためにも早めに売り場の配置を覚えることが大切です。
定期的に行う作業だからこそテーマを持ってやってみよう。
パートやアルバイトとして勤務をすると、前出しは売り場で定期的に行う作業となります。私の職場では、出勤して売り場に出るとまずはじめに前出しを行っています。仕事の始めに行うこともあり私の場合は、前出し作業を通して今日の体のコンディションを確認しています。またどうしても仕事に対するモチベーションが上がらない時も人間だから当然あります。モチベーションが上がらない時は、黙々と前出しの作業をして集中力を高めるようにしています。
品出しの仕事に携わると重量物を持ったり2段式台車やカートに重量物を積載したりすることもあります。地味な作業にも思えますが、前出し作業を一通り行うことでこれから行う品出し作業のウォーミングアップになっています。
参考記事:スーパーでの品出しの仕事|台車やカート使用時の注意点
パートやアルバイトとして仕事に携わる方は、前出しの業務に慣れてくると単調な作業に感じることもあるかもしれません。日々何かテーマを持って取り組んでみてください。