ロスとは、本来であればあげることのできた売上高と実際の売上高の差のことをいいます。スーパーマーケットで発生するロスは大きく分けて「チャンスロス(※機会ロスと呼ぶこともあります。)」と「値下げや廃棄によるロス」の2つがあります。パートなどでスーパーの仕事に従事すると、ミーティング時や業務日誌、連絡事項を書いたノートなどに「ロス」」というワードが度々出てきます。
この記事ではチャンスロスと廃棄ロスの意味について、事例を交えてご紹介してまいります。パートなどでこれからスーパーの仕事に携わる方は是非ご参照ください。
チャンスロス(機会ロス)とは
チャンスロスとは、商品を欲しいお客さんがいるのに在庫が不足している、商品に関するニーズがあるのにそのニーズを掴んでおらず、本来売上をあげることのできた機会を逃してしまうことです。
代表的なものは品切れによるロスです。その他に「情報不足によるロス」や「設備の故障によるロス」、「販売意欲がないことによるロス」、「商品の知識不足によるロス」が考えられます。
代表的なものは品切れによるロス
代表的なものは品切れによるロスです。在庫管理を行い品切れを防止していれば、商品を販売し売上高として計上できていたものの、品切れにより棚が空となっていた状態のことです。例えば朝と夕方の1日2回卵のタイムセールを行う曜日があったとします。翌日のことを何も考えずその日に売り切ってしまい、翌日の入荷がなく売場が空になってしまったようなケースです。
その他、バックヤードに在庫があるにも関わらず品薄となった売り場に商品を陳列せず、本来計上することのできた売上高をあげることができなかったというケースも挙げられます。午前中は商品が陳列棚にあるものの、昼の時間を経過し夕方になると商品が売れて陳列棚からなくなることもあります。1度陳列してしまえば1日の作業はそれで終了ということにはなかなかいきません。
これまでスーパーに買い物に行った際、目当ての商品が棚になく店員の方に「この商品はもう売り切れですか?」とか「棚にあった分はカゴに入れたけどもっと欲しいのですが・・・」と尋ねたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。尋ねてみると実はバックヤードに在庫がまだあって台車に運んで持ってきたくれたという経験がある方もいらっしゃるはずです。「倉庫に在庫があるなら早く品出ししてくれたらいいのに。ちゃんと仕事してるの?」と心の中で思われたことがある方もいらっしゃるはずです。
お客さんの中には棚に商品がないのを確認してそのまま売場をあとにする方もいらっしゃいます。本来はあげることのできた売上を逃してしまうことになっているのです。チラシ掲載の商品は、売り場からなくなるのが早いため、品出し作業をする際は1時間毎など定期的に売り場を回り、品薄となっている時は早めに補充をする必要があります。
情報不足によるロス
店舗がある周辺地域の行事に関する情報不足により発生するロスもあります。例えば周辺地域の小学校や中学校で運動会や体育大会があってペットボトル飲料やハンディパック飲料が売れる見込みがあるのに、運動会や体育大会の開催日時に関する情報を持っておらず在庫が少ないというケース。地域のイベント情報をもっていれば本来あげることのできた売上高のことです。
その他、テレビの情報番組で体に良い食べ物が取り上げられることがあります。例えばサバやサンマなどの魚の缶詰や豆乳、納豆などです。テレビ放送の後は品切れになることもあり、しばらく入荷がないことも発生します。テレビの情報も収集し多めに在庫を準備しておきます。
設備の故障によるロス
冷蔵平台や冷凍ケースの故障で修理やメンテナンスが必要となり、商品を予定している数量売り場に陳列して販売できないようなケースです。
店舗側の販売意欲がないことによるロス
本来はお客さんのニーズのある商品だが、磁石売場やエンド、ゴールデンゾーンといった目立つ場所に陳列をしていない、POPや販促物を使用してPRしていないためにお客さんに商品を気付いてもらえず売上を逃しているケースです。
情報収集不足が原因であることもあり、「情報不足によるロス」とも関係があります。
商品の知識不足によるロス
取り扱っている商品の知識不足によるロスです。例えば自分が所属してる部門以外の商品に関する問い合わせや質問を受け、的確な回答ができずお客さんの購買意欲が低下したケースが挙げられます。フラワー部門や生鮮食品に関する専門的な質問をされる方も時々いらっしゃいます。例えばお花が枯れないよう長持ちさせるにはどうすればいいかといったものです。担当者がいればその方に引き継げるのですが、担当者が帰った夕方から夜間にかけてこのロスが発生することが多いです。
店員の方が商品に関する知識をあまり持っていなかったケースやお客さんが店員の方より商品に関する知識を持っていたというケースですね。スマートフォンやタブレットの普及により、どこにいても色々な情報を入手することができるようになったこともあり、商品に関する情報や知識を相当持っているお客さんもいらっしゃいます。
値引きと廃棄によるロスとは
仕入れをした商品について値引きや販売期限を過ぎ廃棄をした結果、通常の販売価格で販売した時の売上高と実際の売上高の差のことをいいます。
代表的なケースは天候や他社店舗の影響によるもの
仕入れをした商品が、雨や雪などの天気悪化、他社店舗が新規オープンをしたり、セールを実施したことにより在庫過多となり値引きが発生した。値引きをしてもまだ在庫があり、自社で定める販売期限を経過するため廃棄することとなったというケースが代表的です。
またイベントや行事などの影響もあります。例えば世界的なスポーツイベントがあり、自宅でテレビ観戦するなどの影響で外へ外出する方がほとんどなく仕入れをした商品が在庫過多となるといったこともあります。
設備の故障によるロス
冷蔵平台や冷凍ケースなどの設備の故障により、売り場に陳列していた商品が劣化して売り物にならなくなったケース。
品出し作業中のロス
品出し作業中に誤って商品を陳列棚から落とし、パッケージが変形したために売り物にならなくなるケース。
参考記事:スーパーの品出し商品補充|缶飲料の取扱いは落とさないよう慎重に
レジ端末の操作間違いによるロス
レジ端末の操作間違いにより本来あげることのできた売上高と実際の売上高に差が生じるケース。例えば「缶コーヒー6本入りパック」を「缶コーヒー1本」とレジにてスキャンしたようなケースが挙げられます。
その他
他社が同一商品の価格を値下げしていて、お客さんが他社へ流れるのを防ぐためにやむを得ず値下げをしたケースなどがあります。