スーパーマーケットでは、季節に関係がなく年中売れる商品があるのに対し、よく売れる時期とあまり売れない時期が存在する商品もあります。お客さんの需要の少ない時期でも売り場を縮小することなく、在庫数を押さえながら一定の数量を陳列する商品も存在します。
それでもある程度の陳列量をあるように見せなければ、店内が閑散とした様子となり、来店したお客さんの買い物をしようという意欲が低下してしまいます。ボリューム感を出すためには前出しと呼ばれる作業を行うのが基本となります。さらに前出し作業の他、少ない陳列量でもある程度ボリューム感があるように見せる方法も存在します。
ボリューム感を出すための事例
例えばアイスクリームの中でもカップに入ったかき氷(氷アイス)は、7月と8月の夏の間はよく売れますが、秋・冬・春にかけてはあまり売れません。それでもかき氷(氷アイス)の売上はまったくのゼロというわけではなく、ポツポツと売れます。しかし商品に関する鮮度の兼ね合いから、余分な在庫はなるべく持ちたくありません。
そこで在庫数を少なくしてボリューム感のある陳列を行うことになります。本当に数量を豊富に陳列するということではなく、ボリュームがあるように「見せる」方法をとっているのです。
例えば氷アイスの場合、上の画像のように冷凍ケースの中に台を置き、かさ上げをしてボリューム感を出す方法をとっています。かさ上げをしてボリューム感を出すことにより、手をケースの奥まで伸ばさなくても自然と手に取りやすい位置に商品を配置できます。ボリューム感を出すことで来店したお客さんも買い物がしやすくなるのです。
またキャスター付きのバスケットや籐製(籐風)のカゴを使用して、その中へ商品を投げ込んだようなイメージで陳列するジャンブル陳列と呼ばれる方法があります。
カゴの底に箱を置き、かさ上げをして商品を陳列することが多いです。
お客さんに棚の奥(背板)が見えないように工夫をしている。
買い物のためお客さんがエンドや定番商品を陳列するゴンドラの前に立った際、棚の奥(背板)や仕切り板の奥が見えてしまうと品薄感が目立ってしまいます。品薄感が目立つ売り場が増えると、ボリューム感がなく売り場が閑散としたイメージとなります。すると入荷したばかりの商品でもなんとなく鮮度が欠ける雰囲気につながります。本来は売り上げにつながっているのに、ボリューム感がないことによりお客さんに商品を手にとって頂けないという状態は避けたいところですよね。
それを防ぐため上の画像のように棚に台や空箱を設置し、その上や手前に商品を陳列することで、棚の奥(背板)や仕切り板の奥が見えにくくなるようにしています。台や空箱を設置することでボリューム感を演出し、お客さんが安心して買い物ができるような取り組みをしているのです。
ちなみ上の画像のように階段形状に商品を積み上げて商品を陳列する方法をステップ陳列といいます。
ステップ陳列はボリュームのある陳列するための1つの方法です。しかしお客さんが商品を手に取り続けて階段形状が崩れてくると散らかった印象となってしまうため、こまめな手直しが必要となります。
また台や空箱を使ってかさ上げをしない時は商品を横に寝かせた状態とし、その手前に陳列する商品を寝かせた状態の商品に立て掛けることで少ない陳列量でもボリューム感があるように見せることが可能となります。(※お菓子類や日用雑貨など商品を横に寝かせることができる性質のものに限られます。)
ー陳列の基本的なテクニックを解説した書籍です。ー