品出し作業を早くする・スピードアップするには、以前投稿した「スーパー品出し補充の基本的なやり方やコツ」という記事で紹介した品出しの基本を押さえたうえで、両手を使って品出しをすることが大切です。
参考記事:スーパー品出し補充の基本的なやり方やコツ
私はいわゆるスピード「全開」で品出し作業をすることには否定的です。スピードを意識しすぎて手に持った商品を落としパッケージが変形した・破損した、お客さんと接触してご迷惑をおかけしてしまうことがあるためです。正直なところ仕事への慣れからくるのか勤務年数の長いせっかちな感じの方に多いです。
またスピード全開で品出し作業をすると周囲の状況が把握しづらくなります。すると近くにいるお客さんが従業員のガリガリ作業をしている様子を見て、商品を手に取るのを躊躇してしまうこともある訳です。お客さんから受けるクレームの中には「店員の方が売り場の前でせわしくなく作業をしていて、じっくり商品を選べなかった、ゆっくり買い物ができなかった」というものも存在します。私の職場でもお客様の声としてそのような内容の投書があったことがあります。
ですが、品出し作業に少し慣れてきたら、ある程度のスピード感を意識して作業にあたることも必要となってきます。
両手を使う・片手に持てるだけ持つ・両手で持てるだけ持つ
両手を使うのと片手だけを使って品出しをするのとでは品出しのスピードにかなり差が出てきます。
例えば1ケースに12個~16個入っている袋スナック菓子の場合、4~6個を両手で挟むようにしてケースから持ち上げそのまま陳列する、あるいは袋の上部を片手に2個ずつ持ち、一度に4個陳列します。もちろん片手に3個ずつ持っても構いません。
また小さなケースに梱包されており、中に入っている商品全部を両手で挟むようにして持てる場合は、一度に持って陳列してもOKです。つまり片手に持てるだけ持つ、両手に持てるだけ持つということです。
他には例えば4個入りカップ納豆や3個入りのプリンの場合、ビニールの梱包の狭くなった箇所を持つと、片手に2つずつで合計4つを一度に陳列することができます。また1ℓの牛乳は1ケースに12本入っています。ケース内は、1列が4本で3列の構成となっています。牛乳パックの上部を片手で2本ずつ持つと合計4本を一度に品出しできます。これを3度行うと1ケースの品出しが完了します。
片手で持てるだけ持つ、両手で持てるだけ持つという作業を繰り返すことで品出しのスピードに差が出てくるということです。1度の動作で1~2個陳列するのと、両手を使って4~6個陳列するのを積み重ねた場合のスピードの差は歴然です。品出し作業に少し慣れてきたら両手を使って作業することも意識してみて下さい。
品出しをする際は、前回補充してまだ残っている商品を一旦棚から取り出します。一度二段式台車やコンテナに積んで移しておきます。一度二段式台車やコンテナに商品を移しておくことで、棚のスペースが一旦空になるので補充がしやすくなります。両手で商品を持っての作業もしやすくなります。
バックヤードから運んできた日付の新しい商品は棚の奥から陳列します。そして二段式台車やコンテナに一旦移しておいた日付の古い商品を棚の手前・上段に配置する先入れ先出しを実践します。
参考記事:先入れ先出しとは|鮮度低下を防ぐスーパーの在庫管理方法
また棚の下段に商品を陳列する際は、中途半端な姿勢でかがんだりするよりも膝を床について作業をしたほうが両手を使いやすいですし、腰や足への負担も少なくなります。
なぜスピードが求められるのか
続いて品出しになぜスピードが求められるのかをご紹介します。
売上高目標を達成するため
店舗と店舗の各部門には1日の売上高目標があります。売上高目標のことを実際の仕事の現場では、売上予算と呼びます。売上高目標を達成するためには、販売点数(お買い上げ点数)を伸ばす必要があります。そして販売点数を伸ばすためには、欠品がなく商品が売り場の棚に陳列されている必要がありますよね。棚に商品が陳列されていなければお客さんは商品を手に取ることができませんからね。
参考記事:売上高を構成する要素|計算式を交えて紹介
参考記事:値入高・粗利益高・売上高の意味や違い|スーパーの数字
また販売計画に沿って一日分の商品数量を売り場に品出しする必要があります。一日分の商品数量を売り場に品出ししなければ、そもそも売上高目標を達成することができません。※売上高目標のことをスーパーの仕事の現場では、売上予算と呼んでいます。「予算」という用語について解説した以下の記事も併せてご参照ください。
売り場の棚に商品がない、あるいは少なくなってきており、品出しできる状態にも関わらず在庫として商品がバックヤードに眠っていることは避けなければなりません。売り場の棚に商品がなかったり、少なくなっている状態を「穴があいている」とか「穴あき状態」といいます。
商品が売り場の棚にない場合、お客さんから「この商品はないのですか?品切れですか?」と売り場で聞かれることもありますが、多くの方は棚に商品がないのを確認して売り場をあとにしてしまいます。売り場を1周回って最後にもう1回見に来るということはほとんどありません。つまり商品を販売するチャンスを逃しているということなのです。
チャンスを逃さないためにもある程度スピード感のある品出しが求められます。来店したお客さんにとっては、せっかく買いにきたのに買えないという虚無感や不満を与えてしまうことになります。スーパーに買い物に行った際に目当ての商品が、買いにきたのになかったため不満を抱いた経験のある方が多くいらっしゃるはずです。
陳列量が減ることにより生じる店内の閑散とした雰囲気の発生を防ぐため
商品の陳列量が減ると店内が閑散とした様子となります。これにより来店したお客さんの買い物をしようという気持ちの低下につながります。具体的には売り場の棚の商品が売れて凹凸が生じている(先程ご紹介した穴あき状態となっている)、棚の背面(背板)や棚板、仕切り板が見えてしまっているという状態です。
お客さんの買い物する意欲が低下する陳列量のラインを「最低陳列量を割る」と呼んでいます。
お客さんの買い物をする意欲が低下しないよう、営業時間内はある程度スピード感のある品出しにより、店内の陳列量が少ない売り場の解消や陳列量の少ない売り場を出さないようにすることが求められます。
お客さんの買い物の邪魔にならないようにするため
来店したお客さんのことを一番優先に考えて、買い物の妨げにならないように配慮する必要があります。バックヤードから売り場まで品出しのために商品を二段式台車やカートに積載して運搬してきます。そのため品出し作業中、従業員の存在や二段式台車・カートの存在によりどうしても少し通路をふさいでしまったり、買い物の妨げになってしまうのです。これを防ぐためにある程度スピード感をもって品出し作業を終える必要があるのです。
ちなみに補足ですが、通路を二段式台車やカートを使用して移動する際は、お客さんに「いらっしゃいませ」や「台車通ります」、「カート通ります」など声掛けをして自分の存在に気付いてもらうことが重要ですね。
参考記事:スーパーでの品出しの仕事|台車やカート使用時の注意点
朝の開店前の品出しはスピードが求められる
朝の開店前の品出し作業は、営業時間内よりもスピードが求められます。開店前のためお客さんがいないという理由の他、朝の開店時から午前の早い時間帯にかけて買い物に来るお客さんも多くいるためです。中でもご高齢の方は、午前の早い段階で買い物を済ませてしまいたいという方も多くいらっしゃるのです。また開店直後に行けば商品がなんでも揃っているだろうと考えて来店される方もいらっしゃいます。
当然ある程度売り場に商品が揃っていなければ、来店したお客さんに不満を与えてしまいますよね。またバックヤードに在庫があるにもかかわらず品出しがされていなければ、売上と利益を獲得するチャンスを逃してしまいます。
開店時には、商品の欠品がない、前出しが行われていてボリューム感が出ている、商品のフェイス(お客さんにみせる面)が揃っている、プライスカード・POPが設置されている、売り場に表示されている価格とレジを通した時の価格が一致していることが重要です。
関連記事:スーパーの品出しを効率化するテクニック・体の使い方